育休中のごほうびデー

お出かけ先は原宿に決定

育休中にふと思い立って、赤ちゃんをシッターさんに預け、半日だけひとりでお出かけする時間を作った。

行き先を考えるのも楽しかった。
美術館に行くか、映画館で映画を観るか。
「美術館に行く」ことは、今年の目標のひとつだった。
子育てが始まってからは、抱っこ紐に入れて美術館に行ったことはあるが、ある程度大きくなるとゆっくり見られないので、自然と足が遠のいていた。

調べてみる中で、開催中の展覧会のなかでは2つ気になるものがあった。
ひとつは、東京ステーションギャラリーで開催中の、『生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った』(2025年1月25日(土) – 3月16日(日))。
駅でポスターを見かけて、味わいのあるアップリケに惹かれていたが、美術館まで片道1時間かかってしまうのが難点。

もうひとつは、原宿にあるギャラリー「BLUM 東京」で開催中の『元永定正 + 中辻悦子 「記憶の残像」』(2025年2月14日(金)〜2025年4月4日(金))。
こちらのギャラリーは初めて知ったが、『もこ もこもこ』(谷川俊太郎/作 元永定正/絵)という絵本が好きなので、良さそう!と直感的に感じた。私は詳しくなかったのだが、中辻悦子さんは、グラフィックデザイナー・造形作家で、画家・絵本作家である元正さんと夫婦であり、ともに前衛芸術を手がけたアーティストとのこと。

原宿なら、片道30分強で行けるし、ギャラリーなら美術館よりも所要時間や入場料などのハードルが低い。ついでに幡ヶ谷に住んでいた20代の頃にちょくちょく訪れていた、居心地のよいカフェ、タスヤード(Tas Yard)にも立ち寄るというプランを立てた。

おしゃれなギャラリー

当日はお天気。シッターさんは素敵な方で、安心して赤ちゃんをお任せできた。
原宿は本当に久しぶり。10代には友達とショッピングしながら竹下通りをうろうろしたり、20代にはデートで代々木公園に行くのが好きだったりしたけれど、直近の記憶は妹が明治神宮で結婚式を挙げたこと。それすら、5年以上前のことになる。

「BLUM 東京」は、原宿駅竹下口を出てすぐ、「原宿神宮の森」というビルの5階。ギャラリー内は、思いがけず明るく開放的な空間だった。抽象的でカラフル、もにゃもにゃとかわいらしく、どこか地球外生命体や内臓を思わせる作品がたくさん飾られていた。描かれた物体にはしごがぶら下がっているので、なぜかUFOを連想させる。他にお客さんの姿もなく、ひとりマイペースに作品たちの醸し出す不思議な雰囲気を楽しむ。

一室に、ギャラリーの所有すると思われるアート関係の本ばかり並ぶ本棚があり、手にとっていいのか迷ったが、元永夫妻の手がけた絵本が並べてあったので、一冊ずつ吟味する。
『もけら もけら』(山下洋輔/文 元永定正/絵 中辻悦子/構成)という豪華メンバーによる絵本は、言葉の響きがとても面白く、ぜひ入手したいと思った(帰り道で注文した)。芳名帳に名前と感想を残し、ギャラリーを後にする。

15年ぶりに訪れたカフェで

目当てのカフェ、タスヤードは、原宿と千駄ヶ谷の中間地点くらい、通っていた当時はなかった東京メトロ副都心線の北参道駅が最寄りとなる。
原宿の喧騒からは遠い、静かで落ち着いたエリアだ。
ランドスケーププロダクツがお店のデザインを手がけていると友人が教えてくれたお店で、オープンしたのは2004年とのこと。
幡ヶ谷に住んでいたのは2007年〜2011年ごろだったから、頻繁に訪れていたのは15年近くも前になる。

客層は幅広く、おしゃれな若者のグループ、ひとりランチを楽しむ初老の男性、仕事の打ち合わせをする人々、赤ちゃん連れで談笑する女性たち・・・誰もが不思議と馴染む、それでいて洗練されたお店の雰囲気は昔と全く変わっていなかった。当時も、近くに会社があって、店内で打ち合わせをするような人々に憧れていた。
深く考えず注文したスコーンは、大きくて熱々、ゴロゴロとドライフルーツや木の実が詰まっていて満足感たっぷりだった。添えられていたのがバターだったことも新鮮な感動を呼ぶ。

注文を取ったり水を運んだり、素早い動きかつ温かい風情の店員さんも、メニューの相談をする男性に対して、「もしお腹がすごく空いていたら、こちらがおすすめですよ」というお腹空きに親身なアドバイスも店員さんもとても素敵。

私は、昔からカフェで何時間でもぼーっと過ごすのが好きだった。
15年ほどの月日の間に自分は転職したり、結婚して子供も生まれたけれど、大筋のところや好きなものはあの頃と全く変わっていないことを再確認して、なんだか安心した。
お店の佇まいが20年以上経っても変わっていないことも。

赤ちゃんを連れて遠出できないと決めてかかっていたけれど、意外に今日のコースは赤ちゃん連れでも大丈夫だったかもしれない。
ひとり時間を満喫できた貴重なひとときに感謝し、赤ちゃんとシッターさんに深々とお礼の気持ちを伝えた。

チャイ(イメージ画像)